ACメルマガ・セレクト3
心の問題以外に、栄養や運動についても書いていました。今読み返しても、我ながらよく書けていると思います。からだ改造オフィシャルガイドブックを読むのと同じような効き目がありそうなのでご紹介します。
運動も栄養もどちらも大事(2012.11.18)
今日は栄養についてお話する予定ですが、何を食べるとこんな効果があるといった類いの話ではありません。
そういうのは、あちこちで目にされるでしょうから。
そうではなくて、栄養そのものについてこれまでとは違った視点でとらえてみたいと思います。
気晴らしにお読みいただければと思います。
そもそも栄養は、
- 身体や頭を働かせるためのエネルギー源
- 筋肉や皮膚などの身体のパーツ
- 身体の調子をととのえるためのホルモンなどの情報運搬体
として、必要であるとされています。
エネルギー源としての栄養
栄養に含まれているエネルギーとは一体なんでしょう。
三大栄養素である糖分、脂肪、タンパク質は、いずれも炭素C、水素H、酸素Oがたくさん集ったものです。タンパク質はそれに窒素Nが含まれていますから、栄養はCHO(チョ)またはCHON(チョン)から出来ていると言えます。
これらの分子式を見ると、中心になっているのは炭素Cの連なったもの
C-C-C-C-C・・・・・
であることが分ります。エネルギーはこの結合の中にあります。
炭素Cをひとつのレンガとすると、C-C-C-C-C・・・・・はこのレンガを積み上げたようなものです。
地面に置いてあるレンガを持ち上げて積み上げて行くには、誰かがそれをしなくてはなりません。
つまり、積み上がったレンガの中には誰かの仕事が入っています。その証拠に、レンガを崩すとガラガラと音を立て、床は傷つきます。この仕事とか音とか傷がつくこととかが、エネルギーなのです。
だから、たくさん炭素Cがつながったものには、たくさんのエネルギーが含まれているのです。
糖分や脂肪やタンパク質は、空気中に炭酸ガスとして在る炭素Cを植物が吸い込み、太陽のエネルギーでそれをレンガを積み上げるように積み上げたものです。
だからその中にはエネルギーがいっぱい詰まっています。
私たちは、それをレンガを崩すように崩して中に入っているエネルギーを取り出します。崩していって、最後はまた炭酸ガス(CO2)に戻り吐く息(呼気)として排出されます。
ただ、一気に崩すのではなく、使いやすいように少しずつ少しずつ崩して行くのです。
そして、取り出したエネルギーはATP (アデノシン3リン酸)という分子にして必要な場所に持って行き、そこで使います。
だから、体内でより多くのATPを生産出来る人はパワーのある人ということになります。力持ち、アタマの切れる人、ちっとも風邪を引かない人、これらはみなパワーのある人と言って良いでしょう。
ATPについてはメルマガ14号でご紹介しましたが、役割としては超小型のボタン電池のようなものと思って下さい。
このように栄養素を分解することを「消化」、そこからエネルギーを取り出しATPにすることを「異化」といいます。
消化はご存知のように消化器で行われます。
では異化はどこで行われるのでしょうか。
それはすべての細胞の中で行われます。
それには2通りのやり方があります。
解糖系(かいとうけい)
大昔のまだ酸素が空気中になかったころの地球で行われていたのがこれで、細胞内でブドウ糖を分解してATPを作り出します。ブドウ糖1分子からATPが2分子しか出来ない効率の悪い方法ですが、ブドウ糖さえあれば一気に反応できるので、ガソリンをまいて火をつけるように、一度にどーんとエネルギーを作り出せます。
呼吸を止めてエイッとバーベルを持ち上げるウェイトリフティングにはこの解糖系が用いられます。
好気的代謝(こうきてきたいしゃ)
細胞の中のミトコンドリアで行われるのがこれで、酸素を必要とします。
乱暴に言うと、ミトコンドリアの中で栄養から電気エネルギーを取り出し、それでモーター(分子モーターと言います)をブーンと回して流れ作業でATPを製造します。これはマツダのロータリーエンジンのような構造をしていて、1回転ごとに3分子のATPが合成されます。
人間の身体は本当に機械みたいですね。
好気的代謝のすごいのは効率が良いことと、脂肪も燃料に出来ることで、ブドウ糖1分子からATPが36分子も、さらに脂質1分子からはATPがなんと129分子も製造されます。
マラソンなどの有酸素運動にはこれが使われます。
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| 図.ATPを製造する分子モーター |
ところで、このATPを製造するモーターですが、ミトコンドリアの表面にびっしりと数千個から万を超える数が埋め込まれています。しかも一つの細胞の中にはミトコンドリアが2,000個も入っているので、ざっと計算すると一つの細胞に2,000万個もの分子モーターがあることになります。
しかし、すべてのモーターが順調に動いているわけではなく、歳をとると次第に劣化してきます。
劣化すると活性酸素という恐ろしい毒物を作り出してしまい、ますます老化が進んでしまいます。
運動は、このような品質の悪いミトコンドリアを活性酸素をあまり出さない高性能なものに変え、しかも数を増やしてくれます。
特に、少しはあはあと息切れするような「チョットきつめ」の運動が効果が大きいそうです。
筋肉や皮膚などの身体のパーツ
それだけでなく、身体のパーツを作るのに必要な設計図であるDNAから必要な情報を読み出してくるのに使われる酵素もタンパク質です。
消化され小さな分子に変換された栄養素から身体のパーツを作ることを「同化」といいます。もちろん同化にはエネルギーが必要で、ATPが使用されます。
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| 消化、異化、同化 |
DNAは二つのらせんがからまった二重らせん構造をしていて、そのままでは中の情報を読み出すことはできません。ひとつの細胞に含まれる全てのDNAを繋げると2mにも達し、中には30億もの「文字」が書かれています。
その中のどの文字から読み出すかを決めるのはタンパク質で出来ている酵素で、その酵素が目当ての個所にペタッとくっつくと、ちょうどジッパーが開くようにそこからDNAの二重らせんが開いていって、必要な文字を読み出すのです。
読み出された文字3個から一つのアミノ酸が作られ、何種類かのアミノ酸がつながって作られることで筋肉や皮膚などを作るタンパク質が作られます。
これは細胞の中にはアミノ酸の海に浸かったリボソームという「タンパク質生合成工場」があって、それが文字をどんどん読みながら流れ作業でタンパク質を吐き出していくようになっています。
これらもまるで機械ですね。
ということで、人間にとってもっとも大事な栄養素はタンパク質です。
しかし、どんなタンパク質でも同じというわけではなく、人間が必要とするだけのタンパク質をどんな食材から摂るかは大問題なのです。
タンパク質は分子量が5,000~150,000と大きいので腸の壁から吸収出来ず、いったん分子量が小さいアミノ酸(分子量100)やペプチド(分子量500~15,000)に分解して吸収され、それらが体内で再合成されます。
だから、もとのタンパク質が何であったかに関わらず、どんな種類のアミノ酸をどれくらい摂取したかが問題なのです。つまり、食材が人体を構成するタンパク質のアミノ酸比率に近いなら、効率がよいことになります。
これを示す指標として「プロテインスコア」というものがあります。
たとえば卵(鶏卵)はプロテインスコア100で、これは人体のアミノ酸比率とぴったり一致したアミノ酸比率を持つ優秀な食材ということになります。
WHOの基準では、毎日体重の1,000分の一のタンパク質を摂る必要があるそうで、たとえば体重60kgの人は毎日タンパク質を60g摂取しなくてはなりません。
60gなんて大したことないと思わないで下さい。
これは、プロテインスコア100のタンパク質を毎日60g摂るという意味で、もしこれをプロテインスコアの低い食材で摂るとすると、大量に摂取しなくてはなりません。
たとえば卵には脂質も含まれているため重量比ではタンパク質は12.5%くらいですから、もし卵だけからタンパク質を摂るなら480g必要になります。
しかし、プロテインスコアの低い食品、たとえば豆腐だと1,962gになるなど、想像以上に多く食べなくてはならず、結果的にカロリーオーバーになってしまいます。
だから、できるだけプロテインスコアの高い食材からタンパク質を摂る必要があるわけです(ただし、それ以外の栄養素のことは論じておりませんので悪しからず)。
また、必要に応じて「プロテイン」サプリメントも活用したいものです。
【各種食材のプロテインスコア】
鶏卵(全卵生) 100
鶏肝臓 93
牛乳(生乳) 85
ロース脂身なし 84
鶏むね肉 84
精白米 81
アジ(生) 78
サケ(生) 78
木綿豆腐 67
アサリ 66
小麦粉 56
トマト 51
ほうれん草 41
身体の調子をととのえるためのホルモンなどの情報運搬体
細胞膜というと、どろどろした細胞の中味を包み込んでいるゴムの袋のようなつるっとした膜をイメージされるかもしれません。
しかし、電子顕微鏡で見ると膜というより森のように見えます。
表面はつるっとしてなどおらず、でこぼこしていて、いろいろな木が生えていたり穴が開いていたりします。これらは細胞膜に埋込まれた外界とやりとりするための装置で、これを使って様々な物質が出入りします。
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| 細胞膜 |
たとえば水は細胞膜にある「アクアポリン」というタンパク質で出来た水のトンネルを通って細胞内に取り込まれます。
以前、ためしてガッテンでやっていましたが、暖房器具と加湿器を使って蒸し暑くした部屋で行う「ホットヨガ」でかいた汗の総量を運動前後の体重減少で調べ、その後、失った水分を取り戻したと思うまで十分水を飲んでもらったところ、飲んだ水の量はかいた汗の量の半分にも満たないという結果になったそうです。
これは発汗により水分が減少すると、腎臓の尿(原尿=げんにょう)が流れる管の表面にアクアポリンの穴が出来て、そこから尿中の水を再吸収するため、一時的に脱水状態が解消されるからです。
だから意識して水分を摂らないといけないというのが結論でした。
さて、この膜に埋込まれている重要な装置のひとつに、プロスタグランディン(PG)と呼ばれる「局所ホルモン」があります。PGは50種類くらいありますが、いずれも暑い・寒い、細菌やウイルスが接触した、傷がついたなどといったちょっとした出来事に反応して細胞が分泌する物質です。
これは細胞膜を作っている脂肪酸(いろいろな種類があります)という物質が遊離して出来るものですが、遊離した後には別の脂肪酸が血液から供給されて穴埋めします。このとき、アラキドン酸という炎症を促進する脂肪酸が入ってしまうと、いつまでも炎症が治まらない結果となります。
そこで使われるのがステロイド剤です。
ステロイド剤は細胞膜からアラキドン酸を遊離する働きを阻害するのです。
しかし、アラキドン酸は他にもいろいろ役に立つ働きをしているので、これを根こそぎなくしたら全身に大きなダメージを受けます。だから、ステロイド剤は注意して使わなくてはならないのです。
本当は副腎皮質ホルモン(=コレステロールから合成される抗ストレスホルモン)がたっぷり出てくれればいいのですが、ストレスの多い現代では副腎皮質が働き過ぎで疲れてしまっているために、なかなかそうならないんですね。
ここで青魚に含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)がアラキドン酸が遊離した後に細胞膜に入ってくれると、炎症は収束する方向に向かいます。
さらに、EPAは血液が凝固するのを妨げる働きがあります。
だから血栓が出来にくく、これをよく摂取する人には心筋梗塞や脳梗塞は起こりにくいことが知られています。
エスキモーに心筋梗塞が少ないのは、民族的な遺伝のせいではなく、栄養のせいだったわけです。
EPAリッチな細胞膜は健康にとっての目標なのです。
また、細胞膜にあるコレステロールという脂肪も各種ホルモンの原料として欠かすことはできません。
身体の調子をととのえるための栄養は、このように脂肪が中心なのです。
しかし、マーガリンやサラダ油のような人工的な「トランス脂肪酸」は、「局所ホルモン」の生成を阻害するので、健康の大敵です。
私はトランス脂肪酸は極力避けるようにしており、パンを買う時にも必ずマーガリンでなくバターを使っているかどうかを調べています。
本当はまだまだたくさんお話すべきことがありますが、とりあえずミトコンドリアと運動、タンパク質、脂肪についてお話したところで、栄養については終りにしたいと思います。



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